陸屋根(ろくやね)とは、一般的な屋根とは違い屋根に傾斜がなく水平となっている屋根のことになります。大きな建物やモダンな住宅でそうした屋根の形を見ることがあると思いますが、切妻屋根や寄棟屋根といった他の屋根形状とは傾斜の有無で根本的に異なることから、それらとは違った長所短所を持っています。そこで今回は、陸屋根のメリット・デメリットを詳しく見ていきたいと思います。
陸屋根を取り入れたいと考えている方の中にはそのモダンでスタイリッシュな外観に魅力を感じている方も多いと思います。水平の屋根が生み出すそのすっきりとした外観は、切妻屋根などの傾斜のある屋根の形では表すことができないものであり、陸屋根ならではの意匠性の高い住まいにしてくれます。外観については、「外観デザインをおしゃれにしていくための6つのポイント」も是非参考にしてみて下さい。
他の屋根形状とは違い屋根の上を歩くことができる陸屋根は、その上を歩くだけでなく様々なかたちで屋上スペースを有効に活用できる点も大きなメリットとなります。洗濯物を干すスペースとして実用的な使い方もできれば、ガーデニングやバーベキューといった趣味を楽しむ場にもなるなど幅広い活用の仕方が可能ですし、地上に庭を広く取れない住まいにとっては、大きな屋外スペースをもたらしてくれることにもなります。また、こちらのハイランドデザイン一級建築士事務所が手掛けた住まいのように、夜景を楽し見たい方には絶好の場所となるはずです。
写真:Toshiyuki Yano
切妻屋根などでは傾斜する屋根によっていわゆる屋根裏スペースが小さく斜めに削られてしまいますが、陸屋根によって屋根面が平らになることで、そうした室内空間をより広く確保できることもメリットとして挙げられます。もちろん斜線制限がかかる場合は屋根に傾斜がある方が室内空間を法的制限の中で最大限取ることができますが、そうでない場合は陸屋根が有利となります。
住まいを雨や風などから守ってくれる屋根は定期的なメンテナンスが欠かせませんが、そうした屋根のメンテナンスが容易であることも陸屋根のメリットの1つです。傾斜のある屋根では足場などを設けてメンテナンスするためどうしても手間がかかってしまいますが、屋上に上がれる陸屋根であればそのまま簡単に点検などのメンテナンスをすることが可能となります。雨どいに枯れ葉などが詰まってしまうこともありますが、陸屋根であれば屋上をきれいに掃除するだけでそうしたことも簡単に防ぐことができます。
写真:岩井文彦建築研究所
ここからは陸屋根のデメリットについて見ていきましょう。まず挙げられるのが、夏場に屋根の真下にある建物の最上階が非常に暑くなってしまうことです。切妻屋根などであればいわゆる屋根裏空間が緩衝帯となって住空間に屋根からの熱が伝わりにくいですが、屋根がそのまま最上階の天井となる陸屋根の場合、夏はどうしても熱せられた平らな屋根によって室内が暑くなりすぎてしまいます。そのため、屋根に直射日光が当たらないよう、屋上を緑化するなどして対応するといいでしょう。
平らな屋根と言っても当然屋上に降る雨がきちんと流れてくれるように若干の勾配はついていますが、そうした勾配がしっかりとついている切妻屋根などと比べるとどうしても雨漏りの可能性があるため、陸屋根の防水処理や点検・メンテナンスはしっかりと行っていく必要があります。逆にそうして雨漏り対策をきちんと行っていけば実際に雨漏りする可能性は低くなりますし、万が一雨漏りが発生しても被害を最小限にとどめることができるので、妥協せずにしっかりと対策をしていきましょう。
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